【過去問】<救命>急性呼吸不全の診断に際して、ARDSの診断項目に用いられている4項目について簡単に述べよ。

解答・解説

ARDSとは

ARDSとは先行する基礎疾患・外傷をもち、急性に発症した低酸素血症で、胸部X線写真上では両側性の肺浸潤影を認め、かつその原因が心不全、腎不全・血管内水分過剰のみでは説明できない総称である。
ARDSの病態は肺毛細血管の透過性亢進型肺水腫であり、その原因は何らかの理由によってもたらされた好中球を中心とした非特異的な過剰う免疫反応である。

ARDSの診断基準

ARDSの診断基準は2012年に改訂されており、それによると以下の4項目を満たした場合にARDSとされる。

  1. 発症時期
    1週間以内の急性の発症である。
  2. 胸部画像所見
    鏡水や無気肺、結節だけでは説明のつかない両肺野の陰影が認められること。
  3. 浮腫の成因
    心不全や輸液(体液)過剰だけでは説明のつかない呼吸不全。
  4. 酸素化
    P/F ratioが300以下であること。さらにP/F ratioが200~300を軽傷、100~200を中等度、100以下を重症と分類する。

2012年以前は「発症時期」、「胸部画像所見」、「酸素化」、「肺動脈楔入圧」の4項目で急性肺障害と診断し、ARDSはあくまでも急性肺障害が重症化したものという位置づけであった。

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