解答
甲状腺癌について
甲状腺癌には、乳頭癌・濾胞癌・未分化癌・髄様癌・悪性リンパ腫の5つの代表的な組織型がある。以下でそれぞれの組織型の特徴を述べる。
1.乳頭癌
甲状腺癌の中で最も頻度の高い組織系で、甲状腺癌の約75%を占める。頚部リンパ節転移をきたしやすい。
穿刺細胞診での同定率が高く、細胞診所見ではスリガラス状核、核溝、重畳核、細胞質封入体をきたすことがある。X線で砂粒状石灰化を認める。また、X線所見では砂粒状石灰化が認められる。予後は良好で10年生存率は90%を超える。
2.濾胞癌
甲状腺癌の15%を占める。特徴的な所見が少なく、細胞診での良性・悪性の鑑別が付きにくい。
3.未分化癌
急速に進行し、約数か月で発熱・疼痛などの炎症症状を呈する。乳頭癌や濾胞癌が先行して未分化転移をきたす症例もある。
予後は非常に悪い。
4.髄様癌
C細胞由来の癌であり、カルシトニンを分泌が上昇する。多発内分泌腫瘍Ⅱ型に合併することがある。多発内分泌腫瘍の分類は以下の通り。
MEN2A | MEN2B |
甲状腺髄様癌 | 甲状腺髄様癌 |
副甲状腺腫 | 多発性神経腫 |
褐色細胞腫 | 褐色細胞腫 |
5.悪性リンパ腫
そのほとんどがB細胞性由来で、高齢女性に多く橋本病を発生母地とするものが多い。
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