<組織細胞生物学各論>膵臓の内分泌②

糖尿病とその合併症

糖尿病の三大合併症

糖尿病の合併症の3大合併症として網膜症・腎症・神経症が挙げられる。ではどのような機序で糖尿病の合併症が起こるのだろうか。最近の研究により糖尿病の合併症にポリオール代謝経路とグリ―ケーションが大きく関連していることが分かってきた。以下にその詳細を書き記す。

ポリオール代謝経路とグリケーション

ポリオール代謝経路とは、グルコースをアルドース還元酵素によってソルビトールに変換し、さらにソルビトール脱水素酵素によってフルクトースに変換する代謝経路のこと。
アルドース還元酵素を好発現している細胞として網膜の内皮細胞、糸球体の内皮細胞、末梢のシュワン細胞、水晶体上皮細胞がある。これらの細胞ではインスリン非依存的にグルコースを取り入れることができるため、糖尿病になり血糖値が非常に高くなると、大量のグルコースが細胞内に入ってくる。その結果、アルドース還元酵素によってポリオール代謝経路が活性化される。しかし、あまりにもグルコースの濃度が高い場合、アルドース還元酵素の働きに対してソルビトール脱水素の働きが追いつかなくなり、ソルビトールが溜まってしまう。ソルビトールは細胞内の浸透圧を上昇させたりすることで、上記の細胞は変性させ、ナトリウムポンプ異常なども引き起こす。また、ポリオール代謝経路の最終産物であるフルクトースは、グリケーションの作用がグルコースの10倍と言われている。グリケーションによって出来た最終糖化産物/AGEsがたまることは組織にとっては良くない。ちなみにAGEsは老化にも非常に密接に関係しており、それに対する受容体はRAGEという。その受容体の1つとしてスカベンジャーレセプターがある。
糖尿病の合併症は上記のようなことが非常に大きく関わっているとされている。現在ではアルドース還元酵素阻害薬が糖尿病の合併症に対する治療薬として用いられている。

糖尿病性ケトアシドーシス

クエン酸回路とはアセチルCoAとオキザロ酢酸との反応によってクエン酸ができる回路である。糖尿病ではオキザロ酢酸が糖新生に向かうためクエン酸回路の回転率が低くなりアセチルCoAが溜まる。その結果クエン酸回路だけではアセチルCoAを処理しきれなくなり、他の経路でオキザロ酢酸からケトン体であるアセトンや3ヒドロキシ酪酸が生成され、ケトアシドーシスとなる。

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