<組織細胞生物学各論>内分泌ー視床下部ホルモンー

視床下部ホルモンとは

視床下部ホルモンは下垂体前葉に作用して、そこの神経細胞をレギュレーションするホルモンのこと。具体的にはTRH・CRH・GnRH・GHRH / SRH・PRHがある。

GHRH

GHRHは下垂体の前葉に働いてGHを分泌させる。分泌されたGHは主に肝細胞に働きIGF-1の分泌を刺激する。 IGF-1は軟骨の肥大帯に作用して軟骨細胞の増殖に関与する。そのためGHが分泌されなければ骨があまり成長しない。
巨人症とは生前よりGHが多く分泌されて大きくなること。
末端肥大症とは成人になって成長が止まったのちにGHが過剰に分泌されることで、末端だけが飛び出してくること。
ちなみに骨年齢を測るのは手根骨である。

PRH

PRLは下垂体の前葉に働いてプロラクチンの分泌を刺激する。プロラクチンは乳腺を刺激して乳汁の産生を刺激する。プロラクチンの濃度が高くなると性腺に悪影響を及ぼし、月経不順や排卵障害がおこる。
プロラクチンの分泌を刺激するホルモンはPRHだけでなく、TRHもその産生を刺激する!ということも大切である。例えば橋本病では甲状腺の機能が低下しておりTRHが分泌される。その結果、高プロラクチン血症につながる。
また、ドーパミンはプロラクチンの分泌を抑制する。

GnRH

GnRHは下垂体の前葉に作用してFSHとLHの分泌を刺激するホルモンである。FSHが作用するのは女性では顆粒層細胞で男性ではセルトリ細胞である。LHが作用するのは女性では黄体細胞で男性ではライディッヒ細胞である。

TRH

TRHは下垂体の前葉に作用してTSHの分泌を刺激するホルモンである。TSHは甲状腺に作用してサイロキシンが分泌される。サイロキシンは末梢組織の細胞に取り込まれて、そこでヨウ素が一つ外されてトリヨードサイロニンに変換される。より活性を持つのはこのトリヨードサイロニンである。サイロキシン・トリヨードサイロニンは膜を自由に通過するがそれらに対するMCT8というトランスポーターも存在する。トリヨードサイロニンは様々な器官に作用するが、当然視床下部に働くことでフィードバック機能も果たしている。

CRH

CRHは下垂体の前葉に作用してACTHの分泌を刺激するホルモンである。ACTHは副腎皮質の束状帯と網状帯に作用することでそれぞれ糖質コルチコイドとアンドロゲンの分泌を刺激する。
ACTHには無関係だが、球状帯から分泌される代表例はアルドステロンであり、その分泌を刺激するのはアンギオテンシンⅡである。

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