<組織細胞生物学総論>結合組織の基礎

結合組織の基礎

結合組織の発生学と構造

結合組織は主に中胚葉からなる。例外として外胚葉から筋肉が、神経堤細胞から骨が分化することもある。
基本的に結合組織は間葉系の幹細胞に由来する。
結合組織の構成要素は細胞成分と、それが分泌する線維成分と細胞外基質で構成されている。
上皮組織と違って結合組織は細胞と細胞の間に多くの物質(線維成分、細胞外基質)が存在する。
大事なことは線維成分と細胞外基質を分泌するのは結合組織にいる細胞成分だということである。
イメージは図1を参考にしてほしい。
図1
結合組織

細胞外基質について

無定形質は大きく分けてグリコサミノグリカン、プロテオグリカン、細胞接着性蛋白質、組織液の4つがある。
グリコサミノグリカンは二糖類の重合体で-に荷電している。-に荷電していることによって互いに反発し結果として水を引き付ける。グリコサミノグリカンは硫酸化グリコサミノグリカンと非硫酸化グリコサミノグリカンに分けられる。非硫酸化グリコサミノグリカンとして巨大分子であるヒアルロン酸がある。硫酸化グリコサミノグリカンとしてコンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸がある。グリコサミノグリカンはコア蛋白と共有結合してプロテオグリカンとして存在することが多い。
プリテオグリカンはコア蛋白に異なる種類のグリコサミノグリカンが箒状に結合することによってできた構造体のこと。ヒアルロン酸を軸に多数のプロテオグリカンが結合したものがプロテオグリカン凝集体という。
細胞接着性糖蛋白質にはグリコサミノグリカンやインテグリンとの結合部分を持つフィブロネクチンや基底膜の近くに限局されるラミニンなどがある。

線維成分について

繊維成分には膠原線維と細網線維と弾性線維の3つがある。
膠原繊維とは線維芽細胞によって合成・分泌されるコラーゲンの重合体である。コラーゲンは人体中に最も多く含まれるたんぱく質である。膠原繊維は三重らせん構造をとり電顕で観察すると縞模様に見える。コラーゲン線維は、プロリンとリジンが水酸化されることによって水素結合によるより強固なものとなる。この水酸化の過程にはアスコルビン酸(ビタミンC)が必要でアスコルビン酸(ビタミンC)が不足すると壊血病となる。
1型コラーゲンは最も普遍的な膠原繊維で骨や表皮に存在している。2型コラーゲンは軟骨に存在している。3型コラーゲンは細網線維のことで、網状板などに存在しており好銀性である。4型コラーゲンは繊維束を構成せず基底板に限局している。
細網繊維は膠原繊維の前駆型でより細い繊維である。Ⅲ型コラーゲンなどがこれにあたる。銀染色に非常に高い親和性を示す。細胞成分が豊富な肝臓や脾臓やリンパ管や胸腺といった組織に存在している。基底膜の網状板はⅢ型コラーゲン、基底板はⅣ型コラーゲンと関連が深い。
弾性繊維は細くて弾力に富んだ繊維でエラスチンとフィブリリンと微細線維関連糖蛋白質:MAGPで構成されている。マルファン症候群はフィブリリン1の遺伝子異常でおこる弾性繊維機能不全症であり、大動脈解離、眼の異常、骨格の欠陥などがおこる。

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