<組織細胞生物学各論>膵臓の内分泌➀

内分泌組織としての膵臓

膵臓は外分泌細胞の塊である

膵臓は基本的には外分泌細胞の塊である。しかしその中に、内分泌細胞が約3000個の集塊を作ったランゲルハンス島と呼ばれる内分泌組織が存在している。以下にランゲルハンス島に関する詳細を記す。

ランゲルハンス島

ランゲルハンス島は膵臓に100万個ほど存在し膵尾部に多い。ランゲルハンス島の周辺部に存在するA細胞はグルカゴンを分泌し、島全体に存在するB細胞はインスリンを分泌する。そしてD細胞はソマトスタチンを分泌し、近くに存在する内分泌細胞の機能を抑える。その他、ガストリンを分泌するG細胞や、膵液の分泌抑制作用のある膵ポリペプチドを分泌するPP細胞などもある。

膵内分泌腫瘍

膵臓の内分泌組織にできる腫瘍の約70%はインスリノーマである。孤発することが多いがMENⅠ型に伴うこともあるため、インスリノーマをみたらMENⅠ型を疑う必要がある。
インスリノーマの次に頻度の高い膵内分泌腫瘍はガストリノーマで、ガストリンを分泌する細胞が増殖する。多くは悪性で多発し、難治性の消化性潰瘍が起こる。そのような症状になったものをZollinger-Ellison症候群という。
そして、頻度としては少ないが、膵内分泌腫瘍としてグルカゴノーマも大切で、グルカゴン産生細胞が増殖する。これもMENⅠ型を伴うことがあり注意が必要である。

グルコースの細胞内への取り込み

インスリン分泌とグルコースの細胞内への取り込みの流れ

膵臓のランゲルハンス島に存在するβ細胞はGLUT2を発現しており、血中グルコース濃度が上がったらインスリン非依存的にグルコースを取り込む。それがシグナルとなってインスリンの産生が上昇する。
一方、骨格筋細胞・脂肪細胞 においてはGLUT4を発現しており、GLUT4を介してグルコースを取り込む。GLUT4はインスリンのシグナルがない限り細胞膜に誘導されない。そのためこれらの細胞でのグルコースの取り込みはインスリン依存的であり、インスリンを投与することで血糖が下がるのはこれらの細胞でグルコースを取り込むためである。
ちなみに欧米におけるⅡ型糖尿病の第一選択薬はメトフォルミンであり、その作用機序はAMPKの活性化である。これはAMPKが活性化されることで、β酸化の亢進とともにGLUT4の細胞膜への移動も亢進されるためである。(通常、AMPKの活性化=細胞内のEが足りていないというイメージで良い。)
インスリンが不足すると相対的にグルカゴン優位となる。グルカゴンの最大の標的は肝臓であり、脂質や蛋白質を分解して糖に変えてしまう方向に代謝が進んでいく。しかし、インスリンが不足しているため糖を取り込むことができず、最終的に糖として尿中に排泄され、体重が減少する。

インスリンの代謝とCペプチド

インスリンはプロインスリンが切断されることによって出来る。プロインスリンの切断に際しては、インスリンとともにCペプチドも生成され、同じ分泌顆粒から分泌される。糖尿病の患者でインスリンを投与している人は実際の生体でのインスリンの分泌量が分からないため、このCペプチドの濃度を測ることによってその分泌量を測る。
 

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