てんかんとは
てんかんとは大脳皮質神経細胞の過剰興奮に由来する反復性の発作症状を繰り返す慢性疾患のこと。
発作が一回しか起こっていない場合や、脳波の異常のみが認められる場合は、転換と診断することは無い。
てんかんの原因は様々であるが、CBTレベルでは、てんかんの原因は「様々な要因によって神経細胞の過剰興奮が起こるため」と覚えておけばよい。
てんかんの分類
てんかんの分類法として、大きくてんかんの原因による分類法とてんかん発射の出現部位による分類法がある。CBTの傾向的には、全般発作による分類法をしっかり覚えておくことが大切であると思われる。
1)てんかんの原因による分類
てんかんの原因は様々であるが、原因により大きく特発性てんかんと症候性てんかんに分けられる。
- 特発性てんかん
特発性てんかんとは、様々な検査を行っても異常が見つからない原因不明のてんかんのことである。原因は不明であるが、好発年齢があるという特徴がある。 - 症候性てんかん
症候性てんかんとは脳に何らかの異常があったり、先天奇形や脳腫瘍、脳血管障害などの器質病変が原因でおこるてんかんのこと。West症候群やLennox-Gastaut症候群や側頭脳てんかんなどは症候性てんかんに分類される。
しかし、クエスチョンバンクやコアカリなどを見てみると、CBTではあまり問われていない。
2)てんかん発射の出現部位による分類法
てんかん発作はてんかん発射の大きく分けると部分発作と全般発作に分類される。
この分類はてCBTでしばしば問われているようである。
- 部分発作
部分発作とは大脳の限局する焦点のみが過剰放電(発射)して起こるてんかん発作である。そして、さらに意識障害を伴うものを複雑部分発作といい、意識障害を伴わないものを単純部分発作という分けられる。 - 全般発作
全般発作とは両側大脳半球が同時に過剰放電して起こるてんかん発作のことで、全般発作には意識障害が認められる。+代表的な発作に欠神発作、ミオクローヌス発作、脱力発作、強直間代発作が挙げられる。
各てんかん発作の症状について
CBTの問題を解くうえで知っておくと助かる最低限の症状は以下のとおりである。
単純部分発作
単純部分発作の症状は次のようなものである。
- 運動発作:顔や手、足のけいれんなど
- 体性感覚、特殊感覚発作:痛み、しびれ、視覚、味覚、嗅覚、聴覚などに症状が出る
- 精神発作:幻覚、不安など
単純部分発作では意識障害は伴わない。
複雑部分発作
複雑部分発作では意識障害と自動症(意識障害をきたしたまま一定の動作を繰り返す現象)などの症状が特徴的。
意識障害では「急に動作がとまって反応が無くなる」といったキーワードが、自動症の「口をもぐもぐさせる」といったキーワードがヒントとなる。
欠神発作
突然起こる短時間の意識障害が特徴的で通常は数秒から数十秒続く。小児に起こりやすく、意識消失と軽快を繰り返す病歴などがキーワードとなる。立った状態で意識の消失が起こっても倒れることは無い。
強直間代発作
意識消失と同時に全身のけいれんを伴うことが特徴的で、痙攣は強直期と間代期にわけられる。
強直期には、上肢の屈曲、下肢の伸展、呼吸停止によるチアノーゼなどが出現する。
その後、間代期には全身の筋の強直と弛緩・脱力が律動的に繰り返される。尿失禁を伴うこともある。
ミオクローヌス発作
身体の一部、または全身の突然の瞬間的な収縮が特徴的。光刺激によって誘発されることがポイント。
脱力発作
突然、全身または身体の一部の筋が脱力し、ひざや首がガクッとすることが特徴的。倒れて怪我をすることがある。
てんかん重積状態
てんかん発作が30分以上の長時間にわたって続いたり、発作が頻回に反復している状態のこと。
特殊なてんかん
ここではCBTで問われ得る特殊な難治性てんかんについて扱う。CBTではWest症候群以外は捨てても良いかもしれない。
West症候群
生後3か月~1歳の乳児に発症するてんかんで、点頭発作(頭をガクンとさせたり上下肢をピクンと振り上げるような動作をする)、精神運動遅滞、脳波異常(hypsarrthmia)を3主徴とする。
頭をガクンとさせたり上下肢をピクンと振り上げるような動作など、両側対称性の四肢・体幹のけいれん発作を数秒間隔で繰り返すことをシリーズ形成という。CBTの問題ではシリーズ形成がヒントとして与えられることがある。
治療としてはACTHの筋注とビタミンB6大量投与、およびパルブロ酸ナトリウムなど抗てんかん薬による薬物療法が基本となる。
約半数は予後良好であるが、予後不良例ではLennox-Gastaut症候群に移行することもある。
Lennox-Gastaut症候群
幼児の難治性てんかんで、多くは3~5歳に起こる。強直発作や脱力発作など様々な発作が頻発することが特徴。West症候群よりも高率に精神遅滞が見られ、発作間欠時にゆっくりとした全般性遅棘徐波複合を示す。
治療は抗てんかん薬による薬物療法とケトン食による食事療法。
てんかんの診断
1)発作の状況に関する情報を集める
てんかん発作について、患者の主観的情報と目撃者の客観的情報から発作の詳細を明らかにする。つまり、病歴が大切となってくる。
2)脳波
脳波のみで異常が認められ、てんかんを示唆する症状が認められない場合はてんかんと診断することは出来ない。
てんかんで覚えておくべき特徴的な脳波は以下の3つである。
- 欠神発作(小発作)における3Hz spike and wave complex
- 強直間代発作(大発作)におけるPoly spike(強直期)とPoly spike and wave(間代期)
- West症候群におけるhypsarrhythmia
ただし、どうやらCBTの問題は病歴から部分発作か全般発作、またはてんかん重積状態となっているかを判断できれば、脳波を読めないと解けない問題はかなり少ないように思われる。
強いて言えば、West症候群のhypsarrhythmiaだけは見ただけでそれと分かるようになっておいた方が良いかもしれない。
3)MRI,SPECTなどの画像検査
画像検査を行うことで、症候性てんかんの鑑別を行うことができる。
てんかんの治療
てんかん治療の主役は薬剤治療である
てんかんの治療としては薬物治療、外科的治療、全般的生活指導等が挙げられるが、治療の主体となるのは薬剤治療である。CBT的には薬剤治療が主体と覚えておいて、後は部分発作の第一選択薬がカルバマゼピン、全般発作の第一選択訳がパルブロ酸ナトリウムということを知っておくことが大切である。第2選択薬までは覚えなくても良いと思われる。
てんかん重積発作に対する治療法
また、てんかん重積発作(状態)に対する治療法も覚えておく必要がある。
てんかん重積発作に対しては以下の流れで治療を行う。
- 気道確保と静脈確保
- ジアゼパムの静注
- フェニトインの静注
- 脳圧降下薬(グリセロール、マンニトール)投与
- ①~④でダメなら全身麻酔
CBTではこの中で特に①、②を抑えておけば解く分には問題が無いと思われる。
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