【過去問】<耳鼻咽喉科>上咽頭癌の疫学、症状、診断方法、治療について記せ。

解答・解説

疫学

中国南部、東南アジアに多い。EBウイルスの関与が指摘されている。男女比は2.5:1で男性に多い。

症状
  • 鼻・気道症状:
    腫瘍の充満により上気道が狭窄することで起こる鼻閉、腫瘍出血症状による粘膜表面からの鼻出血、そして血性後鼻漏が見られる。
  • 耳症状:
    腫瘍が耳管開口部へ進展することによって耳管を介した空気の出入が無くなり、中耳腔が陰圧になり浸出液が溜まって滲出性中耳炎となる。また、中耳腔に浸出液が溜まることで伝音性難聴を示すこともある。その他、耳閉塞感、耳鳴を認めることもある。
  • 脳神経症状:
    上方進展例では外転神経麻痺(複視)や三叉神経障害が出現する。また頸静脈孔などに浸潤した場合は舌咽神経、迷走神経、副神経、舌下神経などの脳神経症状が起こる。
  • その他:
    頚部リンパ節腫脹が見られることもあり、これが初発症状であることもある。
診断

上咽頭癌は表面から見える癌であるため、鼻咽頭ファイバー、後鼻鏡検査、生検などにより診断する。

治療

上咽頭癌の最も多い組織型は扁平上皮癌であり放射線感受性が高い。また、手術によるQOLの低下が懸念されることなどから、治療は手術療法ではなく放射線療法が主体となる。
放射線療法は非常に有効だが放射線障害により照射部位に機能障害が起こることがあるため注意が必要。
化学療法や免疫療法を行うこともある。

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